こちらの小説は、夕架さんのHP『Frontier』に、
2週間限定隠しアップされていた小説「独占欲」の続きになります。
全作を読んでなくても、特に困ることはないと思いますが、
向こうの小説を読んだことのある方は、にやりとして下さい(笑)























目を覚ますと、すぐ横にナルがいて、
いつの間にか窓の外で、微かに鳥が鳴いていた。





--+--- ファーストコンタクト ---+--



BY ニイラケイ






     
 
ナルの寝顔。
起きてても勿論、綺麗な顔だけど、
寝てるとちょっとだけ幼く見える。
そんなこと、今まで知らなかった。
ナルの寝顔を眺めながら、あたしはふと思いついて
ナルの額に手を当てる。
(・・・熱は下がってる・・かな)
起きたらちゃんと熱を計らないと。
そこまで考えて、はたと気が付く。
・・・夕べ。
(・・・・・・うわ・・・)
思いだしてしまった自分に後悔しつつ、あたしはシーツに顔を埋めた。


あたしがすぐ横で一人芝居をしているのに、
ナルは一向に目覚める気配もない。
(?・・・いつもなら、ちょっと人の気配がしただけで起きちゃうのに)
ナルはとても眠りが浅い。
一緒に調査に行って、何度か目にしているから知ってる。
なのに、今日のナルは。
(疲れてるのかな・・・?)
何故、という部分は敢えて考えないようにして、
あたしはナルの髪を指で梳いてみる。
真っ黒でさらさらのストレート。
(・・・柔らかいんだぁ・・・)
そんな風にナルに触れたのは、初めてかもしれない。
いつもいつも、人との接触を嫌がるナル。
見えない壁を感じたこともある。
見えない棘を感じることもある。


(あたし、考えたこともなかったのかもな)
人との接触を極端に嫌うナルだから。
男の人の一人暮らしの家に、二人きりでいても、
それが夜でも、全然意識してなかった。
ナルは、そういう行為を嫌う人だと、勝手に思ってた。
だから、ある意味あたしは、ナルを男の人として見てなかったんじゃないかな。
(異性として、ちゃんと理解してなかったのかな)
恋愛対象として、という意味なら、あたしはちゃんとナルを見てたけど、
一人の男の人として、という部分で警戒はしてなかった。

ナルにあんな風に扱われることなんて、
あたし、考えたこともなかったんだ。

それは、ナルを侮辱しているのだろうか。
ナルだって普通の人間で、自然の摂理として、あり得ない事じゃないのに。


あたしはナルを見る。
綺麗な顔。
綺麗な髪。
綺麗な肌。
どこか現実離れしているような、綺麗な綺麗なひと。

ああ、そっか。
あたし、ナルに求められると思ってなかったんだ。

あたしは特別綺麗でもないし、自慢じゃないけど、頭も悪い。
身体だって、これといった取り柄もないし。
ナルに釣り合うような自分になるまで、自分に自身がもてるまで
ナルとそういう関係になることはないと思ってたんだ。
(神聖視しすぎてたのかなぁ)
行為は、ただの行為にすぎない。
そこに意味を持たせるかどうかは、当人次第なのだ。



夕べのナルを思い出す。
恥ずかしくて顔が赤くなるけど、
まだ身体は痛むけど、
あたしは、ナルに抱かれたんだ。


例えナルは熱があって、いつもとは違う状態だったとしても、
ナルにとって、あたしは「抱きたい」と思う程度には
「おんな」なんだ。

何だか嬉しくなる。
求められて、それに答えること。
最初は怖かった。
何が起こってるのか解らなくて、
ナルが、まるで知らない人みたいに見えて、怖かった。
でも。
ナルが、あんなに優しいなんて知らなかった。
ナルが、あんなに激しい感情を持っていることも、知らなかった。
ナルの腕。
身体の重み。
(・・・大好き・・・)

声に出したら、起こしてしまうかもしれないから、
このまま、今はまだ眠っているナルに、
そっとキスをした。
 
     






皆さんが甘い小説書かれてるから、
あたしも甘いの書きたい!!
と思って書いたはずなのに、どうよ?これ。
甘いのか?甘いのか??←というか、そっち系だろ。(滅)
まあいいや、どうせあたしは非清純派作家。