別に、カップリングではないです。(前置き)
ただ、初期の頃、麻衣はリンさんとどんなだったかなぁとか、
そんなことを思っただけなのです。
決して「リンX麻衣」ではありません。(笑)
ありませんが、ナルX麻衣でもありません・・・・。
ので、ナルX麻衣を期待されていた方には申し訳ありませんが、
退室なされた方が無難かもです><><;;;
お気をつけ下さいませませ><

















--+--- 花のある風景 ---+--



BY ニイラケイ






     
 
事務所に、花を飾ってみた。
貰いものの花だけど、窓の近くに飾ったら結構可愛くて、あたしはちょっとご機嫌なのだ。

「麻衣、お茶を」
所長室から黒髪の、青年が顔を覗かせた。
あたしの上司は、いつも不機嫌そうな無表情でもって、あたしに用を言いつける。
その用は、主にお茶くみ、ラベル貼り。
たまーに書類整理。あとは、掃除とか?
だからって、別に男尊女卑とかじゃない。
あたしには出来ることが少ないから、仕方ないんだよね。


この事務所はちょっと変わってる。
事務所の存在自体も変わってるけど、何よりもここで働く人間は、
とてつもなく変わってる。
いわゆる、変人なのだ。と、あたしは思っている。

「お待たせいたしました」
事務的に告げるとナルは、一言も言葉を発さずにカップを手に取った。
あたしはじっとナルを見てやる。
「・・・・・まだ何か?」
ナルが眉を顰めてこちらを見た。
睨まれてると感じるのは、見上げるような視線のせいだけでは絶対にない。
「お礼は?」
「は?」
「お・れ・い! 人に何かしてもらったら、お礼を言うのが常識でしょ!」
あたしがお盆を持ったまま、腰に手を当ててわざと見下ろしてやると、
ナルはふいっと目線を書類に戻した。
「それが仕事だろう」
「そう言う問題じゃない。仕事でも私用でも、お礼は言うものなの!」
「下らないことを言っている暇があったら、さっさと仕事に戻ったらどうだ?」
「下らないだぁ?」
こいつ・・・・・一体どういう育ち方したら、ここまで性格が曲がるんだ?
いいかげん、堪忍袋もぶっちぎれる。
「お礼を言うのが下らない?」
「時間の無駄」
「無駄じゃないよ、お礼は言うべき。これは絶対間違ってない」
「・・・・そんなことに、何故いちいち拘るんだ?」
ナルは溜息をつく。
心底、解らないみたいだった。
「人に何かしてもらったらお礼を言うの。たった一言お礼を言うだけで、
相手はちょっとだけ幸せな気持ちになれるでしょ。また何かしてあげたいって思えるでしょ」
ナルは答えない。
半ば呆れて、半ば不思議そうに、けれどめいっぱい不機嫌な顔であたしの話を聞いている。
ちゃんと話を聞こうという生真面目なところが、A型っぽいな、ナルって。
結構神経質だし。
「お礼って大切だよ、挨拶も大切。ナルは、そう言う部分を省きすぎてると思うよ、リンさんもだけど」
「・・・解った。善処する」
ナルの言葉に、あたしはにっと笑って所長室を出た。
そこにいたのは、背の高い黒い影。
・・・・・・・・・・・・・・。
「リンさ・・・・?」
あまりに急だったから、吃驚してちょっと後ずさるあたしに、リンさんは無表情でこう告げた。
「どいて下さい」
「あ・・は・はい」
ぎこちなく扉から離れるあたしを、一切視界に入れないようにしているかのように
リンさんはあたしを見ない。
そして、所長室をノックした後、その中へ消えていった。

これがあたしの職場。
・・・・高校一年生にして、胃に穴が開くんじゃないかと、ちょっと思っている今日この頃だ。

窓辺に飾ったばかりの花は、何が気に入らないのか、もうしおれていた。
萎えてしまったあたしの気持ちに、比例するみたいに。



「あたし、よく今のバイト続けてるなぁ・・・」
「えー、でもいいじゃない。渋谷さん美形だしv」
友達の羨望の眼差しが、脱力を誘う。
確かに、ナルは格好良いよ。
良いところも沢山あるんだと思うよ。
ヤな奴かと思えば、すごく優しかったりする。
掴み所のない、ちょっと不思議で謎多き人。
正直言って、ナルとは何とかやっていけると思うんだ。
何だかんだ言って、ちゃんと話せば訊いてくれるし、理解しようとも(多分)してくれてる。
年が近い分だけ、まだ何とか話し合いも成立する。
でも・・・。
「そういえば、麻衣が怪我させた助手さんとは、その後どう?」
「・・・・・・静かな人だよ〜、静かすぎて、話す機会も作れないけど」
「まだ怒ってるの?ちょっとしつこいんじゃない?」
「ん〜〜、ていうか、あの事故のことよりも、あたしが雇われてること自体が気にくわないみたい」
「早々に嫌われたねぇ、麻衣」
「ま、おいおい仲良くなれるように頑張るさ」
ひとしきりじゃれあってから、あたしは鞄を持って立ち上がった。
「麻衣?もう行くの?」
「うん!今日も戦ってくるね」
「おう!いってらっしゃいっ」
あたしは、戦場である渋谷へと足を向けた。
坂の上にある綺麗なビルに。

「おはよーございま〜す!」
張り切って扉を開けると、珍しくナルが応接用のソファに座っている。
「あれ?今日、何かあったの?」
「さっきまで客が来てた」
「へぇ、仕事?」
「断った」
「・・・・また?」
あたしが呆れた顔をすると、ナルは更に呆れた溜息を吐いた。
「趣旨を間違えて依頼を持ってこられても、僕にはどうしようもないんでね」
「・・・あ、そ」
ここに依頼を持ってくる人の大半は、ちょっと間違えている人が結構多い。
真剣に悩んでいるんだろう、と思える人はまだしも、
あからさまに胡乱なものを見る目つきで、所長であるナルを品定めしに来る輩もいる。
大概の場合「暇人には付き合っていられない」と、ナルはにべもなく客を追い返してしまう。
だから、ここでどんな仕事が行われているのか、アルバイトのあたしでさえ、はっきりとは解らないのだ。
「ナル、お茶どうする?」
「頼む」
ナルは分厚い洋書を開いて読書に入った。
ナルを見て、次にぴったりと閉じられたままの資料室の扉を見る。
リンさんに声を掛けようかどうしようか悩んで、結局やめた。
「要りません」 と言われるのがオチだからだ。
だから、訊く前にお茶を煎れちゃって、それを口実に資料室に乗り込んでやる。


とんとん、と扉を叩く。
中から「はい」とくぐもった声が聞こえた。
「入りまーす」
あたしが扉を押し開けると、リンさんは無表情の中に嫌そうな雰囲気を漂わせた。
「お茶、煎れたんで飲んで下さいね」
「要りません」
ほら見ろ。
でも、今日のあたしはちょっと違う。このぐらいではへこたれてやらないんだから。
「でも、もう煎れちゃったんですよ、ほら、ね?捨てるの勿体ないですし」
そう言って、ほぼ強制的に適当なところにソーサーを置く。
「じゃ、飲み終わったらそこ置いといてくださいね、後で回収に来ますから」
リンさんは苦虫を噛んでいる。
でも、彼は大人だ。
あたしなんかから見たら、とてつもなく大人の男の人だ。
彼は、ナルとはちょっと違う。
何たって、常識も良識もある立派な「大人」なのだ。

あたしが資料室から出る直前、低い声で「有り難うございました」と聞こえた。
ほんの微かだったけどね。




次の日、事務所に着くとあたしは吃驚することに出会った。
窓辺に飾っていた花が、萎れていた花が、復活していたのだ。
しかも、キッチンに場所移動までして。
あんなに萎れてたのに・・・。
あたしはナルに訊いてみた。
彼は、知らない、と答えた。
その次にリンさんに訊いてみた。
リンさんは、存じません、と言った。

どちらかが嘘を付いてる。
事務所に出入りしてるのは、あたしとナルとリンさんだけだ。
しかも、昨日の夜まで枯れかけてたのに。

どちらかが嘘を付いてる。
でも。

どっちが嘘を付いてても良いや。
あたしは、復活した花とともに復活したご機嫌を抱えて、
所長室の扉を、資料室の扉をノックした。








その後、あの花は実は同じものを買い換えてあったのだと知った。
前にはなかった蕾が、下の方にこっそりと膨らんでいた。

花を買ってくるなんて、ナルはしない。
だから多分、あれは「お礼」だったんだろう。
無理矢理押しつけられたお茶の、彼なりのお礼。
(律儀だなぁ)

だからあたしは今日も彼の人に声を掛ける。
とっておきのお茶を煎れて。
 
     






私にとってのリンさんって、何だろう、と思ったのですよ。
リンさんがメインの話しって、どうやって書いたらいいかな、と。
結婚するならリンさんが良いよなぁ。
いや、勿論最高の理想はナルだけど。(笑)
・・・理想は高い方が・・・ね?(淋)

しかし、これ、リンX麻衣じゃないですよ・・・ね・・・?(不安)
うちのサイトでリンX麻衣って、鬼門なんじゃなかろうか・・・・。