次の機会

 Written by うるばばさん

 

 安宿の薄いカーテンを通して朝の光が燦燦と降り注いでいる。早起きの鳥たちは疾うに朝の食事を済ませ、鳴き交わす声も一段落してしまった。
 そろそろ他の宿泊客たちも起き出して、朝食を摂りに食堂へと降りていく頃合である。
 
 リナはもうすっかり目は覚めていたが、ベッドの上に半身を起こしたまま困惑していた。
 ベッドのすぐ脇に置いてある椅子の上には、昨夜脱いだ服がきれいに畳まれて積み重ねられている。ゆうべガウリイが彼女の服を脱がしたとき、つい言ってしまったのだ。
「そんなところに放り投げないでよ、明日の朝大変なんだから。」
 彼は、脱がせた物をきちんと畳んで椅子の上に積んでくれたらしい。夕べのことは特に後半は記憶が定かでないのだが、自分が畳んだ覚えがない以上、彼がやってくれたと考えるのが妥当だろう。つくづく律儀な男である。
 それ自体はありがたいことなのだが、問題は、彼が自分が脱いだものも一緒に畳んで積んでしまったらしいことである。
 脱いだ順番に畳んで下から積み重ねられている服の山。
 当然のことなのだが、一番上にはガウリイのパンツがちょこんと乗っているのであった。
 
 こーゆー関係になって今更そーゆーことを気にするのもどうかと思わないのではないのだが、それでもリナには朝っぱらから彼のパンツを手に取るのがどうにもためらわれるのだ。
 しかし、彼のパンツその他をどかさないことには、その下の自分の服が取り出せない。
 困惑したリナは、パンツへと伸ばした手を宙に浮かせたまま、しばらく固まっていた。
 
「どうしたリナ、不思議なポーズで固まって。」
 傍らに寝ていた相棒が目を覚ましたらしく、声をかけてきた。
 リナはかなりビックリして思わずベッドの上で飛び上がった。
「何そんなに驚いてるんだ?
 まさかゆうべ一緒に寝た記憶がないとか・・・・。」
「んなわきゃないでしょ、あんたじゃあるまいし!
 ぼーっとしてたとこに急に声かけられたからビックリしただけよ!」
 慌てたのでつい早口になるリナ。
「そっか。おはよう。」
「おはよう。これ、あんたのよ!」
 触るのをためらっていた物体だが、そのことを知られるのもなんとなく癪に障って、リナは服の山から適当に彼のものだけより分けて押し付けた。
「あたしこっちで着替えるから、見ないでね。」
 自分の服だけ持って、衝立の後ろに回る。
「着替えるんじゃなくて着るんだろ?」
 くすくす笑いながらツッコミを入れる相棒を無視して、手早く服を身につけようとする。
 が。
「あれ?」
「おいリナ。」
  ガウリイが衝立から顔を覗かせる。
「すけべ!覗かないでよ。」
「すけべって・・・。否定はしないけど。
 お前の下着こっちに混ざってたぞ。」
「あ、ありがと。
 今度からあたしのとあんたのと分けて置いといてよね。」
「・・・・気をつけるよ。」
 
 衝立を隔てて自分も服を着ながら、ガウリイは内心恐れていた。
「そのうち洗濯してアイロン掛けとけとか言われたらどうしよう・・・・。」
 
 おしまい

小原の感謝の言葉(><)
 
 ガウリナの部屋にアップした『初朝』に、後日談をいただいてしまいました! しかも、小原の好きなうるばばさんからです!
 リナが「放り出しておいたら皺になる」と考えるシーンがあるのですが、では次回は畳むのか、という感想を掲示板でいただきまして、そこから書いてくださったようです(*><*)。

 もーこの甘さと淡白さのブレンド具合が絶妙だと思いませんか!!
 個人的にいただいたのですけど、1人占めしてたらもったいないので許可をいただいて公開させていただきましたっ!
 自慢したかっただけという噂もっ!(笑)

 うるばばさん、どうもありがとうございましたっっ!!

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