病み上がり

Presented by : minさま

「リナ。大丈夫か?」
 隣りから、ガウリイの心配そうな声が降ってくる。
「大丈夫だって言ってるでしょーが。いい加減しつっこいわよ」
 あたしは、顔色を見られないようにしながら、プイとそっぽを向いた。
 
 
 こないだ、ちょっと身体を壊してしまった。
 何日か寝込んでしまったが、もう殆ど治って大した事はない。
 本来目的もなくブラブラと旅をしてるあたしらと違い、ゼルには何日も足止めされる理由はないんだから、あたしらはほっといて旅を続けていいわよ、と言ったんだけど、
「俺はそこまで非情じゃないぞ」
 と言われて、治るまで待っててくれた。
 今日、もう大丈夫だから旅を再開しましょ、と言った時、皆ちょっと不審げではあったけど、あたしは有無を言わせず出発したのだ。
 心配されるのはうっとうしいし。
 これ以上皆の足を引っ張るのもゴメンだ。
 ちょこっといつもより歩くのが遅くなっちゃってるのは、病み上がりで歩くのが久々だからであって、まだ体調が悪いからではない。
 それなのにガウリイときたら、何度も何度もなんっども!
 隣りで心配そーに声をかけてくるのである。
 
「……やっぱ、ダメだろ」
 声に見上げるより先に、あたしはヒョイっと抱き上げられた。
「ちょ、ちょっとガウリイ!」
「無理するな。すごく辛そうじゃないか」
「へーきだってばっ」
 こんな街道の真ん中でいきなり何しやがんだかこいつはっ。
「大体なんでだっこなのよ!?」
「えーだって、おんぶじゃお前さんの顔が見えなくてつまらんだろ」
「何を〜? そんならこれでどーだっ」
 あたしはがばっとガウリイの首に抱きつく。
 ふっ、これで顔なんて見えまい。
「あー、ひどいぞっ」
 ガウリイが不満を言うが、無視である。
「ん?」
 ガウリイにしがみついているので、あたしの視線は彼の肩からその後ろ。
 ゼルとアメリアが、妙にあたしらと距離を置いていた。
「あんた達、何他人のフリなんてしてんのよ?」
「……いや、だって、ねえ?」
 アメリアが苦笑しつつ、肩を竦める。
「もう勝手にやっててちょうだいっていうか」
「ホラ見なさい、ガウリイ、やっぱ客観的に見て変なのよ、この格好。下ろしなさいってば」
 睨み付けると、渋々ガウリイは下ろしてくれた。
 そういう意味じゃないんだけどね、というアメリアの呟きが耳の機能は衰えていないあたしに届く。
 ?
 
 うう。
 それから少し歩いて、あたしは上がる息を抑えるのにも苦労していた。
 歩いてるだけで息が上がるなんて、みっともないったら。
 でも疲れてるのを見せるとまたガウリイ達が気を使ってくるし、また段々歩く速度が遅くなってるし、ああもう、あたしってば足手まといだ。
 ちらちらとガウリイが横であたしを見下ろしてくる。
 ああもう。
「――アメリア」
 あたしはついに立ち止まった。
「あのさあ、あんた達、先に行ってくれない? 何かやっぱ、まだいつもと同じようには歩けないみたいだし、このままあたしのペースで歩いてたら、次の町に辿り着く前に夜になっちゃうでしょ? だから先に行って宿取っといてよ。あたしはあたしのペースでゆっくり歩いて行くからさ」
「でもリナ……」
「解った、そうさせてもらう」
 アメリアの言葉を遮ったのはゼルだった。
「確かにこのままでは日が暮れる。悪いが先に行くぞ」
 そう言って、躊躇うアメリアを促して、ゼルはさっさと歩いて行った。
 暫く立ち止まって、ひらひらと手を振りつつそれを見送るあたし。
 何故か隣りには、当然のようにガウリイも突っ立っている。
 …別にあたし、何も言ってないのに、と思ったけど、それを今更追及するのも何なので、そのままにしておいた。
 やがてあたしものんびり歩き出す。あたしの歩調に合わせて、ガウリイものんびり歩き出す。
「一応言っとくけど、ゼルは怒ったりとかそんなんで先に行ったんじゃないからな」
「解ってるわよそれくらい」
 など、他愛無い会話を交したり、話すこともなくなれば黙ったまま、のんびり、てくてく、あたしのペースで。
 ……………。
 ちら、と見上げると、何だ? と見返してくるガウリイ。
 何でもない、と言う代わりに、あたしはぷいっと前を見てまた歩く。
 のんびり、てくてく。
 ……………。
 はあ、とため息ひとつ。
 あたしは諦めた。
「どうした?」
 立ち止まるあたしの隣りで、ガウリイも立ち止まる。
 有効に、使わない手はないのよね。だってこいつはあたしのアイテムなんだし?
「疲れた。手貸して」
 言うと、ガウリイは笑って
「おう」
 何の気負いもなくそう言うと、ヒョイとあたしを抱き上げた。

小原の感謝の言葉(><)

  小原、大っ好きなminさんからお話をもらってしまってしまいましたの〜〜vvv
 押し付けたイラストのお礼だそうでございますのよ! 海老で鯛を釣るとはこのことですわねっ!!
 個人的にとくださったものなのですけど、これを自慢せず何を自慢しますっ!?(笑)

 minさんの書かれるガウリイさんは最高です(*><*)。
 大人で、大空のような包容力があって、でもちょっと間抜けな感じ(笑)。リナさんの言うなりなんだけど、それが幸せでそうしてるんだ、という落ち着きが!
 女王様的なリナさんもよくって、私はもうminさんのガウリナの虜です。
 そのようなわけで、大好きです!!
 ありがとうございましたーっ!!!

 

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