代えることなど不可能な 

「どーしてもダメなのか……?」
 なにやら情けない顔をしてガウリイが呟く。
「しょーがないでしょ、ダメだって言うんだから」
 何度目かわからないぼやきに、あたしはため息で応えた。
 仕事で、とあるシティの領主宅に滞在中のことである。
 このシティの領主が、今回の依頼人。パーティの最中領主の護衛をするのが仕事ということで、今まさに着替えを終え会場へと向かうところだ。
 護衛というのだから当然武器が必要だと思うのだが、この依頼人はどうしても帯剣してほしくないと言い張り、再三にわたるガウリイの『剣がなければ仕事ができない』という訴えを退けた。なんでもこのパーティには国の高官が出席するとかで、体面上帯剣した人間をそばに置くわけにはいかないのだとかなんとか。ガウリイだけでなくあたしも反対したのだが、あたしたちはあくまでもボディーガードで、会場の外には正規の護衛もいるということと、服の下に隠せる程度の武器ならかまわないということで、仕方なく帯剣をあきらめた。
 ま、実際普通の相手ならばあたし一人いれば困らないのだが。
 問題は、あたしたちが普通じゃない相手に出くわす確率が高いとゆーだけである。
「うー。なんか、腰のあたりがすかすかする……」
 仕事の遂行に支障があるかどうかうんぬんよりも、ガウリイにとっては帯剣していないという事実そのものが気に入らないらしい。お風呂に行く時でも剣を持っていくガウリイだから、それも仕方ないことだろう。
「まー問題はないと思うんだけどね。もし戦闘になるようなことがあったら、いったんその場はあたしに任せて、会場の外にいる誰かから剣借りてきて。外には剣を持ってる人もたくさんいるから」
「ああ……」
 しゅんとした顔でガウリイがうなずく。
 今回、パーティ会場にもぐりこむということでガウリイもあたしもいつもの服を脱いで盛装をしている。双方とも領主の借り物だが、なかなか上等なものだ。
 あたしが着ているのは、春の暖かさを感じられるようになったこの季節にふさわしい、若草色のロングドレス。裾の部分は何重ものレースになっていて、乙女趣味とまでは言えない程度にふんわり膨らんでいる。嫌いな趣味ではないが、動きづらいことは否めない。
 ガウリイの方は、まあ一般的な黒のツーピース。パーティ参加者が十人いれば、九人までは同じようなものを着ているだろうという特徴のない服だ。
 これが、似合うのである。
 こういう格好をしていると、ガウリイもまともに見えるから不思議だ。
 ――と、さっきまでは思っていた。
 剣がない剣がないと、でかい図体をしてしおれている姿を見るまでは。
「いきなり理由もなく魔族が襲ってきたりしないだろーな……」
「なんで理由もなく魔族が襲ってくんのよ」
「よくあるだろ、そーゆーこと」
「不吉なことゆーな」
 たしかによくあるけど。
「まぁ、大丈夫なんじゃない? そんな深刻そうな様子じゃなかったし。あくまで念のため、って感じだったでしょ」
「そーだったっけ?」
「依頼内容くらい聞いてろっ!」
「聞いてたが……リナを名指しできた時点で怪しいじゃないか」
「それのどこが怪しいのよ? 天才美少女魔道士たるこのリナ=インバースに仕事してほしいってのは、ごく自然な依頼でしょ」
「盗賊いじめと金儲けが趣味の乱暴な魔道士にわざわざ依頼するなんて、なんかある」
「ケンカ売ってんのかあんたは……」
 ガウリイはふるふると首を横に振る。
 素直でよろしい。
「あたしを名指しの依頼なんかしょっちゅうあるじゃない。今回に限って妙に弱気ね。あっ、もしかしてお腹空いてるとか?」
「オレは子供か」
「だって、あんまし時間なかったから軽食くらいしか食べてないじゃない」
「たしかに今日の晩飯はこの屋敷の人が用意してくれたから、ごく普通の食事しか食べてないが。ふつーはそれを軽食とは言わん」
 ガウリイのくせに常識人ぶって『ふつー』を語るとは。
 たしかに、ごく普通の量を食べたけど。
「要するに、剣持ってないから不安なわけね」
「え? あ、ああ」
 ガウリイは苦い顔でまた腰のあたりをさする。
「そーなんだろーな。リナもそんな格好だし……」
 そんな格好とはなんだ。
 あたしのような美少女が盛装してるとゆーのに、戦いにくそうだという感想しか出てこんのか、この男は。
 一応、曲がりなりも、ある側面を見れば、こいびとっぽいようなそうでもないような、そう言えないこともない関係だというのに。
 まあ、そう言うあたしもこのドレスを着た時思ったことと言えば『立ち回りしづらそうだ』ってことなのだが。
「あーまぁ、大丈夫よ。ここの領主に護衛頼まれるの二度目だし。前もたいしたことなかったから」
「え、前にも仕事したことあったっけ?」
「ガウリイと会う前にしたの! 領主に会った時、さんざんその話してたでしょーがっ!」
「そーだっけ。まぁ、そういうことならいいんだが……」
「心配しなくて大丈夫。ただのお飾りよ」
 きっぱし言い切ってやる。
 それでもガウリイはまだ、不安そうな顔をして自分の腰をなでていたのだった。

 というわけで、とどこおりなくパーティは終わった。
 城下町ほど大きな街ではないが、中規模の街である。その領主が催すパーティということで、それなりに盛大でそれなりに人もたくさんいたのだが、これと言って怪しい人間もおらず事件も起こらず、平和そのものだった。
 生々しい話になるが、あたしへの依頼料はけして安くない。何しろ、超一流の天才魔道士であり剣士でもあるこのリナ=インバースへの依頼なのである。
 一人旅を始めた当初こそ、買いたたかれ、オーガ退治を鶏の卵十個パックでなどという涙なしには語れない依頼も請けたが、そんな青春の憤りを通りすがりの悪人たちにぶつけているうち、依頼料はあっと言う間に跳ね上がった。実力が正当に評価されたのだと言えるだろう。まあ、実力うんぬん以前に、単純に名前が売れたからってこともあるが。一石二鳥という奴である。
 そんなあたしと、知名度の点であたしほどではないがやはり超一流の剣士であるガウリイを護衛に雇うとなると、なかなかの出費になる。お飾りの護衛として使うには、なかなか豪華な面子なのである。
 しかし、パーティには何の問題もなかった。
 問題と言えば、パーティが終わって撤収作業をしている最中、ガウリイと二人で残り物の料理をかきこんでいたら、いつの間にか囲まれていたということだろうか。
「……おい……大丈夫なんじゃなかったのか……?」
 他人事のように言っているあたしだが、周りを取り囲んだここの兵士らしきみなさんは殺気立っているし、傍らのガウリイもまた白い目をしていた。
「おかしいわね……計算と違うわ」
「計算があったのか、計算が」
「もちろんよ。お飾りの護衛で楽して依頼料がっぽり、プラスパーティの残り物食べ放題っていう、完璧な計算だったのに……」
「それは計算とは言わん」
 しかし……実際参ったなぁ……。
 いや、素手で囲まれたからといって大した問題があるわけではないのだが、問題は何で囲まれているのかということの方である。
 これが野盗とかごろつきの類だったら、正当なる逆恨みだと予想できるのだが。どう見ても、取り囲んでいるのは正規の兵士である。ごろつき辺りとは発する雰囲気が違う。
 あたしは悪党をしばき倒しはするが、正規の兵士に武器を向けられるようなことをした覚えはない。
 ……本当にないってば。
「何をぶつぶつ話している!? さぁ覚悟しろっ! リナ=インバースと、連れの男っ!」
 あちらは完全に戦る気満々である。
 こちらに戦う気はない。とりあえず。
「えーとね。荒っぽい手段に出る前に聞いておきたいんだけど、あたしたちは一体何だってまたこういう目に遭わされてんのかしら? 話によっては、素直についていってあげなくもないわよ」
 いいのか? というような顔でガウリイがこちらを見るが、文句は口にしなかった。
 あたしとしても、シティを丸ごと敵に回すのは寝覚めが悪い。できれば穏便に済ませたいとは思っている。
 できれば、だが。
「理由を説明する必要はないし、ついてきてもらう必要もないっ! 我らが命じられたのは、リナ=インバースを生きて捕らえることと、連れの男を殺すことだっ!」
「はぁ!?」
 問答無用か!?
「お前……前にここへ来た時、何やったんだ……?」
 ガウリイの目がますます白い。
「うーん……普通に護衛の仕事しただけだったと思うんだけど。依頼主をどついたりした覚えも……あれ? 一回くらいしたかも?」
「オイっ!」
「いやなんか、ここの領主の息子がスケベな若いにーちゃんで、おかしなとこさわってきたりしたもんだから……」
「あーそれはまぁ。いや、だからって殴るんじゃない」
 そこはしょーがないと思ってほしい。人間、我慢できないことというものがある。
 しかし、それだけで『殺す』とくるだろーか?
 普通なら、せいぜい出入り禁止とかあることないこと悪口を言いふらすとか、その程度の報復で済みそうなものである。
 まぁとにかく、わけがわからないが、ガウリイを殺すと言われた以上はいそーですかと捕まってやるわけにはいかなくなった。
 何をやったことにされてるのか知らないが、後で濡れ衣だとわかればここで彼らを吹っ飛ばしても『殺されそうになったんで思わずやっちゃったんですぅ!』という言い訳が通るだろう。
 うん、じゃあそーゆーことで。
「じゃ、ま、やっちゃうか」
 これっぽっちもやる気なく言うと、ガウリイがまた情けない顔で自分の腰をさすった。
「オレの剣……」
「はいはい、ここの使用人に預けてあるから、後で取ってくるわよ。とりあえずナイフなら持ってきてるけど、いる?」
「いや、いい……」
 ガウリイはうなだれてため息をつく。
 ま、別にガウリイに戦ってもらわなくてもかまわないし。
「どうした、覚悟は決まったか!?」
 律儀に待っててくれたらしい、隊長さん。
 あたしはぱたぱたと手を振って言った。
風魔咆裂弾[ボム・ディ・ウィン]
 力ある言葉を口にすると、途端に烈風が吹き荒れて居並ぶ兵士たちを身も蓋もなく吹き飛ばす! ……と思いきや。
 彼らに向かって吹き付けたのは、子供なら足踏みをするかもしれないという程度の強風だった。
「……あれ?」
「おい、リナ?」
 ガウリイが少し焦ったように振り向く。
 えっと、普通に呪文を唱えたつもりだったのだが。
 あの日が近いというわけでもないし、体調も万全。もちろん呪文を言い間違えたりもしてない。魔法の威力が弱まるような要因は思い当たらない。
「……結界?」
 強いて言うなら、こういう結果を生む原因として結界の内側に入ってしまった時というのが思い浮かぶ。
 以前、とある魔道士協会のお偉いさんの館で、地下水路を利用した結界に知らず入ってしまった時。それから、セイルーン全域を覆っている六紡星の結界の中にいた時も、これに似た現象が起こった。
 原因はわからないが、どうやら呪文の威力が極端に制限されているらしい。
「……どうしよ?」
 ぽつりと呟くと、ガウリイががくりとうなだれた。
「どうしよって……とりあえず下がってろリナ」
「え、どーすんのよ」
 ガウリイは、丸腰のままあたしをかばうように前へ出る。
 武器なしで戦うつもりらしい。
 あたしもスカートをめくって足にくくりつけておいたナイフを抜くが、これでどこまで戦えるかは分からない。
 あたしが使うよりマシだろうとガウリイにナイフを差し出したものの、いらないと手振りで断られた。
 なんとか周囲から武器を奪うしかないか。
 しかし、周りを取り囲んだ兵士たちも、ガウリイには遠く及ばないがそこそこ手練れの様子。武器を持たずに大勢あしらうのは難しいだろう。その上、彼らの持っている武器は槍だ。
 ガウリイが槍で戦っているところは見たことがないが、扱えるのだろうか?
「かかれっ!」
 隊長さんの号令で、包囲網が狭まる。
 迷ってる時間はないらしい。
「オレがなんとかするっ! 自分の身だけ守ってくれ!」
「なんとかするって……」
 ガウリイはほんの少し隊列の動きに遅れのあった左側へと走り出す。
 ええいっ! ここはガウリイを信じて援護するしかないかっ!
青魔烈弾波[ブラム・ブレイザー]!」
 あたしは走るガウリイの背中を追い越すように呪文を放つ。
 精神を衰弱させる呪文で、貫通能力があり、複数の相手に効く。もともと強い効果を持つ呪文ではないし、今の状態ではどのくらい効果があるか怪しいものだが、わずかな隙くらいは作れるだろう。
 光の帯が兵士たちのところへ飛び込んでいく。
 狙った相手には避けられたが、となりの兵士には軽くかすめた。
 かすめたと言っても、本来なら昏倒するはずのところ、かすかに足さばきが乱れる程度で持ちこたえられてしまう。
 だが、それがガウリイにつけ込む隙を与えた。
「うおっ!?」
 乱れた足下に足払いをかけられて、倒れはしないまでも動揺する兵士A。
 背後から先ほど青魔烈弾波[ブラム・ブレイザー]を避けた兵士Bと、反対側にいた兵士Cが槍を突き出すが、ガウリイはこれを下に沈み込んで避けた。
 ガウリイの頭上で噛み合う槍と槍。ガウリイは立ち上がりながら、その勢いを利用して目の前の兵士Aに肘打ちをかます。
 予想していたのか兵士Aは後ずさりながら腕で防御したが、かなり痛かったらしい。
「はっ!」
 気合いと共に手首を蹴りあげられて、兵士Aの握っていた槍が手を離れた。
 ナイスっ!
 兵士BとCが再び薙ぐように槍を振り回すが、ガウリイは兵士Aの手から離れた槍を空中で器用に受け止め、腰を沈めながらそれを振り回す。
 自らの腰を支点に体を低く構えて繰り出された槍は、大の男二人がかりの攻撃を、揺らぎもせず、がっきと受け止めた。
 動きが止まった!
 ガウリイは適度に力を抜いて噛み合った槍を流し、柄の端を握っていた手を真ん中辺りへと持ち替えた。その流れを止めず、まずは尖っていない石突きの部分で兵士Bの鳩尾を強打! そのまま回転させ、刃がついている方で兵士Cの手にした槍を薙ぎ切る!
「うおぉぉぉっ!」
 立ち直った兵士Aが素手で槍を取り返そうとかかってくるのを、突き出したままだった槍を素早く引くことで、反対側で突き倒した。
「貴様ぁぁっ!」
 少し離れていた兵士たちも、ガウリイの奮戦ぶりを見て一斉にかかってくる。
 ガウリイはまたさっと柄を持ち替える。今度は中央辺りから一番端の部分、刃から離れたところに手を置いた。
 そのまま両手で構えて、体を回転させながら一閃!
「うっ!?」
 広範囲をカバーする高速の閃光に、兵士たちは一瞬怯む。
 その隊列の乱れを見逃すガウリイではない。
 槍を長く持ったまま遠距離からの突きをくれて、まずは一人、武器を持つ手を攻撃して戦闘能力を封じる。
 すぐに他の兵士が殺到してくるが、腰を低く落とし、石突きを床に突いてさらにその支点を足で支え、複数人からの強烈な波状攻撃をすべて受け止める。
「なっ!?」
 兵士たちの動きが一瞬止まったところに、支点に使った足で槍を勢いよく蹴りあげて、避けようのないほど鋭い一撃をくれた。
 うーん……。
 強いな、ガウリイ。
 あたしは内心舌を巻いていた。
 槍まで自由自在に扱えるとは、さすが戦闘力だけは常識外れ! 体さえ動けば、この男を止められる人間はいないのではないか!?
 今度、他にどんな武器が使えるのか聞いてみよう。
 さて、ガウリイのことはどーやら放っておいても大丈夫そうである。
 問題はあたしだが、もちろんあたしも放っておかれていたわけではない。
 だが、あたしとてそれなりの修羅場をくぐりぬけてきている。愛用のショートソードを奪い、呪文の威力を弱めた程度で、このリナ=インバースを止められると思ったら大間違いである。
 ガウリイは他に任せてあたしの方へかかってきたのが、五人ほど。
 これをナイフだけで一度に相手するとなるとしんどいが、頭と呪文は使いようっ!
影縛り[シャドウ・スナップ]っ!」
 あたしはまず、一番端の一人に向かって走りながら呪文を解き放った。それと同時に、手にしたナイフを床へ投げる。
 影を突き刺すことで、影の持ち主の動きを止める魔法である。
 呪文の威力が弱まっていたとしても、この手の小技ならば影響はないはず。威力が弱ければ腕力で跳ね返せるといった類の呪文ではないからだ。
「な!?」
 あたしが逃げ回るとでも思っていたのだろうか、端にいた兵士Dは手もなく影縛り[シャドウ・スナップ]を食らう。
 まずは一人、行動不能っ!
 あたしも唯一の武器であるナイフを失ったわけだが、それは後で考えるとして。
「魔道士風情がぁっ!」
 飛びかかってくる二人に向かってお見舞いするのは、この呪文。
振動弾[ダム・ブラス]っ!」
 通常の威力はないので、一撃で人間の体を吹き飛ばすようなことはできない。だが、本来なら破壊力のあるこの呪文を、走ってくる足下に向けて放ったらどうなるか。
「うおっ!?」
 たたらを踏んだ兵士EとFに隙ができる。
 その間に、あたしは距離を取りながら早口で呪文を唱えた。
火炎球[ファイアー・ボール]!」
 これまた、本来の威力はない。
 狙いは兵士たちではない。彼らの握った槍である。
「あっちぃぃっ!」
 つまり、そういうことだ。
 鉄の槍は、熱さ冷たさに大して非常に弱い。
 冷たいならともかく、人間熱いものを我慢して持ち続けることは難しい。もちろん手袋をしているのである程度は耐えられるだろうが、限度というものがある。今のあたしの呪文では一撃で敵を黙らせるというわけにはいかないだろうが、槍を狙って戦闘力を殺ぐことはできる。
 ……ドレスでなきゃ、体術も使えないわけじゃないんだけどなぁ……。
 思い切りグチりたいところだが、そうも言っていられない。
炎の槍[フレア・ランス]!」
 近づいてきた一人に向けて、至近距離から熱量の高い槍状の炎を当てる。
「うわっちぃっ!」
 たまらず槍を離したところに、蹴りを一発。
 がっしゃぁぁん! と盛大な音を立てて倒れる兵士の鎧の隙間を狙って、ハイヒールで思いっきし踏みつけてやった。
「ぐきゅっ!」
 二人目陥落。
「おいっ!? 話が違うぞ、こいつら強いじゃないか!」
「だ、だが魔法はほとんど使えないと……!」
「いや実際ほとんど使ってないが!」
 甘い。
 強い魔法を使うだけが能ではないのだ。
眠り[スリーピング]!」
 動揺したところに眠りをかけてやると、新たに一人が倒れた。
 残り――二人!

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