アリスのお茶会

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 物語はいつも、「むかしむかし……」で始まって、「めでたしめでたし」で終わるの。
 たとえば、こんな風に――

Once Upon A Time


Present for...ニイラケイsama

...There was a beutiful King.

 オリヴァー王は音に聞こえた美君子だった。
 彼の即位式では、その姿を初めて間近く見た者たちが無礼を省みず声を上げてしまった、という。肖像画を描くよう命じられた画家が、歴代の王がかすんでしまわぬようにあえて抑えたタッチを心がけたという噂はまことしやかに流れている。美姫と名高い貴族の姫が、着飾ってダンスパーティーに乗り込み宴の途中で逃げ出したという逸話など後を絶たない。
 その瞳冷厳とし、髪鮮やかなほどに玄(くろ)く、声楽音のごとく響く。
 およそ王に対するものとは思えぬ美辞麗句が巷談に昇る。
 何にしろ自国の王が優れていれば国民は嬉しいもの。5年前の不幸な事件はさておいて、彼の治世は民衆に歓迎されていた。
 その美貌だけで国民は鼻高々であったのだが、かてて加えてこの王の聡明さといったら、これまた音に聞こえる。一説には、王宮の矜持高い文官たちがオリヴァー王に家庭教師をしている最中に感服して頭を下げたほどだという。実際、政治手腕はなかなか手堅く、『厳しいが正しい王』としてちまたの評判も上々であった。
 ところが、そんな非の打ち所のないと見える王にも、欠点はあるもの。
 オリヴァー王の場合は、一向に跡継ぎを作る様子がないところであった。
「陛下!」
 臣下の陰気な声を耳にし、私室に向かっていた王は眉をひそめた。
 大臣以上の高官には政の場である外宮より先へ入ってくる権限があったが、実際にその特権を使うものは少ない。彼が気さくな王ではないのだからなおさらである。彼、暗躍と勤勉を以て施政大臣に就いたヴラドは役目のためだと大儀を振りかざして何かというと特権を誇示していた。オリヴァーをナルと愛称で呼ぶような親しい臣下ですら、内宮にはなかなか足を踏み入れない。
 その媚びを売るような目つきもそれでいて笑っていない口元も、ナルはけして信用していなかったが、実際有能だったのでとりあえず権を取り上げることはしていない。
「これから夕餉の時間なのだが。何か、大臣?」
「おそれながら、陛下。何でも今晩ミカミ氏との謁見に足を運ばれるとか」
「ミカミを知っているか」
「これは見損なわれましたな。ミカミ氏といえば、我が国の友人であるジパングで昨年より急速に台頭した大商人。今では我が国の重要な取り引き相手です」
 ヴラドは嫌らしく口元を上げた。友人と言いながら利用するだけしてやろうという心根が見え隠れしている。もっともその姿勢自体はナルも否定しないのだが。
「らしいな。だから会う。それが何か」
「ミカミ氏は連れがあるとか。10人もいた娘にいい嫁ぎ先を見つけては成り上がってきた豪商にございます。こちらでも良縁を求めていらっしゃるやも……」
「それが、何だ」
 ナルはうんざりして問うた。話の流れはすでに読めている。いや、ミカミの謁見が何の目的であるかもすでに読めているのだ。
「この際側室であろうが他国の娘であろうが構いません。陛下ももとはといえばジパングの血……」
「大臣」
「お気に障ったなら失礼。しかし、民衆は世継ぎを望んでいます。陛下が無事即位なさったとはいえ、御子誕生のきざしもない。このまま世継ぎが望めないとあればと先走り、姉姫につく臣下も出始めているのですぞ」
「僕が死んだ後のことは、ケイ姫に任せてもいいだろう。当分そのつもりはないが」
「それでは収まりません。朝廷が2分されるということは、御身の危険もまた増えるということ……。どうか、お考えあそばされませ」
 ナルはおざなりに返事をして、彼を追いやった。王に拒まれてしまえばヴラドといえど内宮にとどまれる道理はない。すぐに、耳元は静かになった。
 ヴラドはつまり、彼が支持しているナルの治世が続くことを願っているのだ。姉姫は神秘の姫、人当たりの良さで人望があるがヴラドのごとき危険な輩を飼っておけるほどの器量はない。彼女が力を持つようになればヴラドの出番も自然減っていくであろう。要は彼の保身から出た言葉なのだ。
 しかし、ヴラドの進言はその他の忠臣たちの本音でもある。それは分かっているのだが、とナルは息を吐いた。
 彼は責任感の強い王である。自らのなすべきことを充分に心得ているつもりだ。跡継ぎがいなければ、今後のことを先読みした臣が現在の第一王位継承者であるケイ姫に流れることも分かる。その結果朝廷の勢力が割れてしまうことも分かる。跡継ぎを作って今後の朝廷を安らからしめることも彼の責務であると、言われるまでもなく承知していた。そういった事態をナルに近い臣下たちが憂えていることも。
 だが、彼には事情があった。

 周囲の予想通り、ミカミ氏は娘を連れて謁見に臨んだ。
 ジパングはナルの治める通称SPR国と非常に親しい。ほとんど身内と言っても差し支えないくらいであり、通商、外政、そして婚姻と内外問わず人の出入りが盛んである。SPRの後宮には何十年と前からジパングの娘が多く入ってきたし、逆も然り。顕著な例としては、現在王位にあるナルの母親がジパングの貴族から嫁いできた娘であるのだ。
 ミカミはそのジパングで一大勢力を築いている大商人である。その彼が来賓として訪れ王との謁見を臨めば、ナルとしても応えないわけにはいかなかった。
 自分の性癖を理解していればまったく構わなかったのだが、とナルは壇の下を見やった。
 ミカミは薄い頭をこすりつけるように平伏している。その一歩後ろには体型も分からないほど着飾った娘が控えて、ミカミと同じように床へ這いつくばっていた。
「このたび謁見をたまわりましたご縁を祝しまして、私の娘を陛下に差し上げたく……」
 どうでもいいあいさつを延々連ねた後、結びの言葉としてそんな風に言いだしたミカミを前に、ナルはため息をついた。
「ずいぶん多くの娘に助けられているようだな、ミカミ」
 辺りの女官たちから失笑がもれる。謁見といってもそれほど公式なものではないため、護衛の兵より多い女官が謁見の間を華やかに飾っていた。それが一斉に笑ったものでひそかな笑い声は思ったよりもはっきりと響いた。
 ミカミはまだそんな余裕があったのかと思うほど、さらに床と頭との距離を縮めた。
「忠義な娘たちを持ち、私も常々感謝の念に震えております。これも私の人徳と思し召していただければ、これ幸いに存じます!」
「ジパングでは複数の妻を持つ風習と聞くが、あと何人娘がおいでかな?」
「はっ……いまだ良縁に恵まれません娘は、あと3人ほどおります」
「よしみを結べる相手もあと3人というわけだ」
 そこまで言ったところで、すぐ脇に控えていたリンがそっと袖を引いた。もうやめろという合図だ。リンはナルの腹心であり、彼をナルと愛称で呼ぶ数少ない者でもある。その忠告は無視できない。
「とにかく、礼を申し上げる。下がっていい」
「は……っ」
 ミカミは出た腹まで床に押しつけ、ことさらにゆっくりと慎重を期した動作で謁見の間を辞した。後には、女官や護衛兵、そしてナルと娘が残る。
 このようなわけだから、ナルの後宮にはなぜか女が多い。彼自身に種付けの意志も行動もないというのに、捧げられる断れない女たちがどんどん入っていくのである。
 国内の豪商や貴族ならば、知っている。彼がこうしてある意味売られてくる側室を、その意味を考えれば女娼である彼女たちを歓迎していないことを。付き合いの長い外国人も知っている。ミカミのような成り上がりだけが知らず娘を捧げて、その後まったく無視されていることを知り、ナルの意志をも知ることになるのだ。
 責務を果たしたいとは思っている、とナルは忸怩たる思いを噛みしめる。完璧な王であるはずだ。その他のことに関して、彼は完璧だ。皇子として産まれてきた責任を知ってからそれを心がけ、努力してきた。生まれつき容姿と知性にはすこぶる恵まれていたから、その努力は逐一報われてきた。臣下も国民も彼を信頼している。当然の結果だと彼は自負している。
 ところが、こればかりはどうにもならない。
 その臣下や国民が賛美している彼の神秘的な力が、彼自身を縛っている。その力を、彼らはオブジェクトリーディングと呼ぶ。物体に触れることでそれにまつわる過去や現在、持ち主の思いを知ることのできる天からの贈り物だ。贈り物であったはずだった。
 何度か、ナルは側室たちの部屋を訪れた。彼の責務を果たすためだ。だが部屋に入り、その調度品に触れて儀礼的に褒めてやった瞬間だった。
 彼は娘たちの苦悩を知った。恐怖を知った。意志に反して嫁がされてきた彼女たちが、故郷に残した郷愁、使命にかける悲壮な決意、そして本当に愛した人への慚愧の念を、知った。知るというのは語弊があるかもしれない。彼自身の強力な能力によって、まるで自分自身が体験したかのように鮮烈に痛烈に、彼は娘たちの傷みをその身に受けてしまったのである。
 抱くことなど、できるはずがなかった。
 何度かそんなことがあってナルは『献上品』をわずらわしく思い始めた。いくら部屋におもむかなければ済むと言っても、娘たちの思い詰めた眼差しを見れば、否が応でも吐き気がするほどの嫌悪を覚えた。
 彼はすでに哀れな娼婦たちを見ることそのものが苦痛だった。それでも、捧げられてくればそれなりに遇さなければならない。言葉をかけ、宮を与える。捧げ主に対する配慮として、王の責務として、個人的な嫌悪に耐えてそこまではやりとげた。それ以上どうしろというのか。
 いつだったか、たわむれに『笑え』と命じてみたことがある。彼女たちは一様に笑った。とても美しく、本心を隠して。何も楽しくなどないだろうに。
 また繰り返すことになるのだ。ナルはため息をつきたい思いで娘を見た。
 彼女の顔も一昼夜たてば忘れるだろうが、その悲しい瞳は今彼に一時の苦痛を与えるに違いない。
「顔を上げろ」
「はい」
 娘はぱっと身を起こした。まだ若いのか。一国の主の前で緊張しているのかもしれない。化粧で白く塗りつぶされた顔は、壇上からではよく見えなかった。
「名前は何という」
「マイと申します、陛下。ジパングでは麻の衣、と書いて麻衣と書きます」
「遠いところをご苦労、麻衣とやら」
「ありがとうございます! それほど遠くありませんので」
 となりのリンが顔をしかめるのが分かった。どういう言葉であれ、王の言ったことを否定するのは礼儀にかなっていない。ナルもまたあきれた。
「教育がなっていないようだ。後宮では苦労しないといいな」
 立ち上がると、それを謁見終了の合図と見て女房たちが動き出す。ところが、どれだけ若いのか知らないが娘は無謀だった。
「申し訳ありません、何か粗相をいたしましたでしょうか」
 応える義務はない。一刻も早く不本意な会見を終わらせたかったので、ナルは振り向かなかった。
「あの、陛下! 悪いところがあれば直しますので、おっしゃってください」
 話したくないと態度で示しているのに、剛毅な娘である。自信を厳しく鍛えてきたナルは無礼者が許せなかったので、振り向かなかった。
「田舎者ですからお怒りはもっともかと存じますけれど、これから陛下の後宮に入れていただく身です。一生懸命勤めたいと思っています、どうか悪いところがあるならおっしゃってくださいませ。おそれながら、私が無礼なままではこれから居心地の悪い思いをなさるのは陛下です。叱られるのは構いませんけど、理由をおっしゃってください。あの、私がどのくらいサービスするかはやっぱり陛下の態度にかかってると思いますよ!?」
 女官のざわめきがあまりに大きくなったので、ナルはさすがに振り向いた。
「……私、さらに失礼なことをしましたでしょうか」
「そうだな」
「ごめんなさい!」
 麻衣はミカミと同じように平伏した。礼の仕方だけは丁寧なジパング人だから、仕込まれているのかもしれない。
「これからはどんなことでも陛下のおっしゃる通りに勤めます! お許しくださいませ!」
「どんなことでも?」
「もちろんです!」
「なら顔を上げて、笑ってみろ」
「はい!?」
 驚いたのか勢いよく顔を上げた麻衣は、不躾にもナルを凝視した。
「笑ってみろ、と言ったんだが? お前はこちらの言葉に不自由なのか?」
「いえ、一生懸命練習してきました。ええと、仰せのままに」
 麻衣は唇の端を上げて目を細めた。なかなかできのいい笑顔だが、品があるとは言い難い。
「……ごめんなさい、がんばりますけど、やっぱり楽しくも嬉しくもない時に笑うのって難しいです」
 本人は気に入らなかったらしい。
 ナルは呆れて失笑した。
「お前は滅多に見られない美しい王にまみえているというのに、嬉しくないらしい。もういい、下がれ。居室は用意する」

 麻衣は、彼女のために用意された宮に通されて狂喜していた。
「うわあああ何この柔らかいベッド〜〜!」
 小さな天蓋の付いたベッドにぼふん、と埋もれて悲鳴をあげる。顔の半ばまでが埋もれてしまっている。
「すごぉい、SPRの王宮ってホントにお金持ちぃ!」
 ベッドには大小10個近い枕が並べてあり、そのどれもに刺繍がほどこされている。質素を旨とするジパングに産まれ育った彼女には異様とも言えるが、商人の家で生活していたので他の人間よりは慣れている。ミカミの家もSPRの人間が訪れたときのためある程度洋風に仕立ててあったが、ここまでではない。
 部屋は生国で言う10畳ほど、けして広いわけではないのだが今までを考えれば劇的な変化だった。感激している彼女は、王宮の中でもかなり狭い部類の部屋なのだということには思い至らない。ナルの彼女に対する印象を、臣下が悪い方に解釈した結果、それに見合う部屋に通されたのだ。
「この置物1個で何ヶ月生活できるんだろ、あたし。いや何年……? もしかして一生……!?」
 かわいらしいウサギ型の銀細工を持ち上げて、色気のかけらもないことを叫ぶ麻衣。つぶらなウサギの目がさびしそうだ。
「身体を売った甲斐があったなぁ。飢え死にはしなくてすみそうだー。どんな仕事したって、命が一番よね。仕事、仕事」
 色気どころか遠慮のかけらもない即物的な独り言を言う。
「これで王様がああでなければ最高なんだけどなぁ。確かに噂通り綺麗だけどさー」
 性格は最悪、と麻衣は小声で呟いた。これからあの王の言うとおり、あんなことやこんなことをしなくてはいけないわけだ。
「普通自分で自分のこと美しいとか言うか? あんのナルシストっ」
 人の目がなくなって麻衣は気兼ねなく愚痴っていた。それだから、扉がノックされると大慌てである。
「はっ、はいっ!」
「ちょっといいかな?」
 その声を聞いて、麻衣は冷や汗を感じた。性格はともかくものすごく美しくて深みのあるその声は、王のものだとしか思えない。
「もちろんです、陛下!」
 焦って答え、扉が開く音に間に合うように何とか床へ平伏する。ミカミにこれだけはとうるさく言われた礼儀作法である。
「ああ、いいよ。顔を上げて。僕は国王じゃないから」
「え?」
 麻衣はその優しい言葉につられて顔を上げたが、来客の顔はどう見ても先ほど壇上にあった美形の王である。一度上げた顔を再び床に打ち付けた。
「ごめんなさい! もう、ご冗談を!」
「あはは、冗談じゃないんだ。僕はナルの兄でユージンという。兄弟だから似てるだけだよ、気兼ねなく」
「あ、そうなんですか……って、やっぱり王族なんじゃないですかー!」
「まあ一応ね。僕はナルほど気むずかしくないから、本当に構わない」
 麻衣はおそるおそる平伏するのをやめた。太陽のようなユージンの笑顔に押されるまま、不躾にもベッドに座ってしまう。
「本当に……陛下じゃないんですか?」
「うん。本当に違う。よく似てるだろう、母親は違うんだけどね。ナルも僕もジパング人の母親から産まれたから」
「あ、そうなんですか。私もジパングから来たんです」
「みたいだね。それを聞いて忍んできたんだけど、まさか会えるとは思わなかったな」
「え? ああ、警備がありますからね」
 ユージンはにこりと笑った。
「ナルに怒られちゃうかな。でも、心配しなくていいよ。ああ見えてナル、無茶はしないから」
「無茶……?」
「麻衣が心配してるようなこと」
 うっ、と麻衣は詰まった。あれだけ冷たい人間で、しかも絶対的に立場の強い国王だから、麻衣が果たすべき務めもかなりきつくなるのではないかと娘心としてはかなり気がかりだったのだ。
「その代わりと言ってはなんだけど、あのね彼はけっこう淡泊だから……声がかからなくてもあんまり思い詰めないでね」
「はい。お気遣いありがとうございます」
 ユージンは苦笑する。その苦笑がどんな意味なのか麻衣は知らなかったが、のちに嫌と言うほど知ることになるだろう。ナルが淡泊では済まされないほど後宮に近寄らないこと。彼女が心配し彼を嫌う必要もないほど、ナルは麻衣に近寄らないだろうことを。
 それでも彼女ならナルを恨まずにいてくれるだろうか、とユージンはひそやかに願った。それだけが彼の望みであった。

 ところが、事態はそう易しくはなかった。
 国政が糾合し為すべき務めが山積みしているときであれば、人々はナルの禁欲的な勤勉さを讃える。ナルは休憩時間と言われて放り出されたときにも自ら組織している学究組織へ顔を出して個人的な研究に余念がないような、勤労好きの国主である。どんな意地の悪い国民でも彼が王宮で奢侈をむさぼっているなどと風評したりはしない。頭が固いの尊大だのと陰口を叩くものはないでもなかったが、怠惰であるとはけして言われない。ナルはそんな王だった。
 現在SPRの内政は安定している。ナルの公平な政治手腕が評価され、外交もまずまずである。万事がうまく動いているように見えたが、問題がないわけではない。
 王宮内部では、彼の即位で沈静化したかに見えた勢力争いの芽が再び現れていた。
 もともとナルは地位の低い側室から産まれた皇子である。先代は彼と違い娘遊びをことのほか好んだのだが、なぜか子供に恵まれなかった。とうとう正室には皇子が産まれず、皇女が1人あったのみ。長い間そのケイ姫が第一王位継承者であったのだが、先代が身罷るまえに皇子が相次いで誕生した。少しばかり遅れて産まれた、つまり兄弟の一番年下であった皇子こそがナルである。
 このような事情から、ケイ姫にはナルたちの誕生前から彼女を支持していた者が多くいた。官のほとんどがユージンとナルが誕生するなり手のひらを返したが、あまりにも大っぴらに彼女の元で勢力を築いていた一団は、半分ほどが鞍替えするのに遅れた。
 すぐに身を翻してナルや兄のユージンをもてはやし始めた連中に判断の遅さを嗤われ、上手いこと抜けられなかった者たちは悔しさを噛みしめた。そして、当てつけるためにケイ派とも呼べる勢力を築いてしまったのである。
 ケイ派の主張は単純だった。ナルにしろユージンにしろ、母親は身分が低く、産まれもジパングで自国の人間ではない。そのうえ先代が逝ってしまった時彼らはまだ成人(15才)していなかった。そこへ来るとケイ姫はSPRの高級貴族の娘であり、跡継ぎとして英才教育を施されているので頭の出来もいい。ジパングにこれ以上踏み込まれるよりは、女王でもいいではないか――。
 この主張を退けることができたのは、幼い皇子たちの美貌と優秀な頭脳と、何より慣習を尊ぶ国民性のためだった。
 そしてその慣習は今、オリヴァー王の首を目に見えないほどゆっくりと絞めつつあった。
「国民は世継ぎを望んでいます」
「分かっている」
 何度となく繰り返された問答だった。
 内宮奥深くのその部屋には、ナルの腹心だけが集まっている。
 目立って背の高い居丈夫は、神殿の任を受けて朝廷の神事を実際に行っている腹心中の腹心、リン。彼は派手に表へ出ることこそないが、実利を伴わない祭祀長だけを務めているわけではない。その高い位と権限をもって、ナルの内意で行動することもある影の実力者なのである。
 いまひとりは、宰相補佐を務めるシュウ。宰相本人は頭の固い老人だが、彼は違う。ナルが直々に抜擢して補佐役へ押し上げた。ナルの頭の中における本当の宰相は彼だと言ってもいい。名前はシュウなのだが、ジパングにおもむいた時は自分の名前が音読みのようだと言ってジパング風に『オサム』などと名乗ったりする。宰相と正反対の柔らかい頭を持った青年である。
 彼ら重臣はナルに次から次へと女性を薦めている。しかし冗談でも酔狂でもなく、大真面目なのだ。
「じゃあ、意外性のないところで神通力の姫はどうでしょう。神殿に勤めてらっしゃるマサコ姫は大変な神通力の持ち主で、容姿もことのほか端麗でいらっしゃるんですよ〜。いやぁ、陛下と並んだら綺麗だろうなぁ」
「シュウさん……姫にお会いしたことがあるんですか」
「やだなぁ。僕にそんな暇があるわけないじゃないですか。噂ですよ、噂」
 シュウは非の打ち所がないほど鮮やかに笑う。
「マサコ姫は血が近すぎます。ケイ姫の娘でしょう」
 ナルは鼻白んだ風に言った。シュウは幼い頃からの教師のような存在だったので、ナルは私的な場では臣下といえど丁寧な言葉遣いをした。彼なりの、能力の認め方である。
「ええ、陛下の従姉妹でいらっしゃいます。充分ですよ」
「ケイ姫の派閥にこれ以上力を与えると?」
「あっ、ばれちゃいましたか。僕実はケイ姫派でして」
 そんなわけはない。
「マサコ姫でも駄目ですかぁ。少しは興味を持ってくださるかと思ったんですが」
「僕の反応を試しましたね?」
「ご明察でいらっしゃいます」
 シュウはにっこりと微笑んだ。
「容姿抜群、能力抜群、しかも陛下の研究に貢献できる力の持ち主であられる。これで駄目なら何がいいんでしょうねぇ」
「……」
「身分の釣り合うものを探してくればいいのではないでしょうか」
 リンが深く低い声で意見した。
「僕もそれしかないんじゃないかと思ってます。体のいい奴隷扱いされる女性が嫌なんでしょう? なら、捧げられる女性ではなく、陛下ご自身がお探しになればいいのでは?」
「ナルが断られることはないでしょうね」
「女性にとっても最高の誉れですからねぇ」
 どうだ、と臣下たちがうかがったナルの顔は、けして乗り気ではなかった。
「僕が誘えば断らない。それはそうだろう」
「でしょう?」
「しかし、断りたくても断れない。それでは同じなんだ」
「はぁ……」
 私的な会議は平行線をたどっていた。ナルはとにかく嫁入りを拒む。いや、女性を後宮に入れること自体は我慢できても、子作りに励む気になれないのだ。
「ナル。今まで私たちも我慢してきました」
「分かっている」
「このままでは国民に知れ渡るのも時間の問題です。即位から2年、政治も落ち着いてきました。これ以上忙しいとはごまかせません」
「後宮の女官たちが口さがなくなってくるのもそろそろだと思いますよ。彼女たちの口はつぐみ続けているには滑りがよくできています。せめて体裁なりとも繕う気にはなれませんか」
 ナルは渋面を作って臣下の言葉を聞いている。
「後宮によりつかない、娘を部屋にも呼ばない、では言い訳のしようがありません。どんな噂が立つことやら」
「同性愛者だなどと言われたら、神殿からお小言を食らいますしねぇ。信心深い国民からも嫌われますよ?」
「ナル」
「もうそんな状態なんです、陛下」
 2人から責められているナルは、限界まで苛立っているように見えた。彼が嫌味やわがままを爆発させないのは、彼の優秀な頭が臣下の正しさを理解しているからである。
 ナルは、長い沈黙の末大きく息を吸って吐いた。
「……何か策があるか。僕は子供を作れそうにない」
 吐き捨てるような言葉だった。完璧を絵に描いたような彼にとってそれは屈辱であるし、その事実には苦痛すら覚えるのだ。それでも彼は責任を理解していた。不幸にも。
「この際少々道に悖る案でも構わない」
 シュウとリンは視線を交えた。この言葉を待って、策はすでに用意してあるのだった。そして、おそらくはナル自身も漠然と考えていることだろう。
「後宮の娘に、誰か他の男をあてがいましょう」
「あなたは通うふりさえしてくださればいい」
 ナルはすでに決心をつけ、無表情を取り戻していた。
「通っていることを女官に印象づける程度でいいな」
「派手に時期がずれれば疑われます。この秘密は、女官たちに背負わせるには大きすぎるもの。最低限で秘めておきましょう」
「あと2人ないし1人ということだな」
「1人……ですか。でも、相手の女性とその、頼み事をする男性には言わないといけませんよね」
「確実を期すならお前たちのどちらかにに頼むのが安全と思うけど?」
 余裕のある態度でそう口にしたナルに、シュウたちは少々口をつぐんだ。確かにそれが安全だ。国家の重大事を秘めておける口の堅さと、それで王をゆすったりすることのない人間性、裏切らない忠誠心が必要なのだ。
「嫌だというなら研究所の人間だな。ノリオか、ジョンか。4人のうち誰でも僕は構わないが」
「それは……信頼されているのだと解釈してお礼を申し上げておきます」
 シュウは言いにくそうにそれだけ言った。まかり間違えば自分が王の女性を奪い取り、なおかつ次王の父親となることになるのである。すぐに割り切れることでもなかった。
「……誰でもいいと思うなら、女性に選ばせてはいかがですか」
 同じく心苦しいのだろう、リンも眉をひそめて言った。
「ああ、それがいいですよ。無体な願いをするわけです。相手にも選ぶ権利があるでしょう。それに、僕たちもそれなら納得がいくというもの」
「道理だな」
 ナルは静かにうなずいた。
「では……相手を選んでください、陛下。よりどりみどりですよ?」
「この計画を打ち明けられる人を」
「何より、陛下が通う負担が少ない人を選んだ方がいいと思います」
「そうだな……」
 ナルは後宮にいるはずの女性たちを思い出そうとした。全員にとりあえず謁見しているはずである。申し訳程度とは言え言葉も交わしているはずで、何らかの記憶が残っていておかしくない。
 ナルは一心に考えた。彼の人生の中で一番女性について考えた時だ。だが、彼女たちを連れてきた男の名前と役職は思い出せても、女性の顔は出てこない。一刻もたてば忘れてしまう癖がついているのだから当たり前だった。
 唯一出てきたのが、数日前に謁見したジパング人の名前だった。日が浅いこともある。しかし、特に不愉快な印象を受けなかったため謁見の後わざわざ忘れようと努力しなかったことが彼女を覚えさせていた。
「麻衣……といったかな」
 記憶が心許ないためと、臣下の反応を見るためにナルはわざと曖昧に呟いた。シュウとリンの反応は悪くなかった。
「麻衣さんですか。僕は彼女が好きですよ」
「そうですね。私も嫌いではありません」
 ナルは、慎重な2人が麻衣に向けているらしい好意に、逆に驚いた。
「なら、彼女に頼む」
 こうして国を左右する策は、麻衣に預けられることになった。

 いつも通り自室で暇を持て余していた麻衣は、とうとう国王からの呼び出しを受けてあわてて部屋を飛び出そうとした。お召しを伝えに来た女官が止めなければ、そのまままっすぐ王の居室へ向かっていたことだろう。
 女官は、3人がかりで麻衣の身体を拘束した。ぴっちりと部屋の扉を閉め、彼女を裸にして身体を清める。本人には指一本動かさせることなく、すべてが女官の手によって行われる。麻衣は人形のように彼女たちの玩具にされているだけだ。着飾らせることには女官たちの矜持がかかっているのだと言われれば、麻衣も動くわけにはいかなかった。
 謁見の間に連れて行かれた時にされたように、全身を痛むほどこすられる。垢が落ちたら次は香油を塗り込めてほのかな匂いをまとわせられた。そしてコルセット。これはすぐ外すので軽めに済ませてくれる。その上から絹の肌着をまとい、やっと室内用の衣装。
 衣装はミカミが持たせてくれたジパング風のドレスを着せてくれた。本来十重二十重に重ね着するものだが、これは洋装を取り入れたものということで、3枚だけの簡素なものである。それでも白銀の布に銀糸の刺繍や透かし模様が豪奢に入った着物は、女官たちのため息を誘った。麻衣も悪い気分はしない。
 支度ができたのは半刻ほども経った頃だった。
「こんなに時間がかかって、陛下怒らないんですか?」
「マイ様がいい加減な格好でお出ましになったら、怒られますよ」
「はぁーい」
 こういう時、麻衣は『そういうものか』と納得することにしている。違う国や家で風習の違いにこだわっていても仕方がない。
 妙に張り切った女官たちに尻を叩かれんばかりにして気合いを入れられた麻衣は、すっかり暮れきった後宮の中を燭台1つの灯りで案内された。後宮は広く、部屋が一体いくつあり何人の人間が住んでいるのかも分からない。そんな中で召されたのだと思うと麻衣は緊張した。
 ここで生活して行かなくてはいけないのだ。帰る場所はない。王の機嫌を損ねたらおしまいだ。
 麻衣は自分に活を入れ、王の居室の前で向上を述べる女官を見ていた。

 さて、麻衣というのはどんな娘だったか。
 ナルは女官におざなりな返事をしながらとうとう来てしまった娘を待っていた。いずれ不愉快な女には違いないだろうが、不愉快さがいくらかでも少なければそれに越したことはない。自分より美しい女は期待していない。自分より賢い女も期待していない。シュウやリンより気配りのできる女も期待していない。
 ならば一体何を期待しているのか。ナルは自分に問いかける。
(何も期待していない)
 女性に対して期待しているものなど何もない。
 いや、本当は国民にも臣下にも、ある程度以上馬鹿にはならないでくれと願っているだけだ。役に立てばそれでいい。ナルはつまらない駒を上手いこと並べて役立てる能力を持っている。それで充分だ。
 期待したことなどあっただろうか。
 父は道楽者で政治をないがしろにしていた。取り返しがつかなくなるほど国を荒らす前に早く死んでくれと願っていた。幸いその通りになった。
 母は父の寵愛を得られずに始終荒れていた。彼女の評判が悪いのでナル自身も正当に遇されなかった。当時はユージンが第一王位継承者だったからそれでよしとされたのだ。実力で正当な評価を得たいと思っていたら、彼女もほどなく死んだ。そして彼は庇護者を失った。
 そうすると今度はユージンが邪魔だった。彼がいて人気の全てをさらうので、ナルは何度暗殺されそうになったか分からない。ユージン本人がなついてくるのもうっとおしかった。しかし彼は……。
 物思いに沈んでいると、扉が大きく開いた。女官の礼に押されるようにしてそこから入ってきたのは、和装と洋装を混ぜたようなあでやかで清楚な衣装をまとった若い娘だった。
 ナルは彼女を遠慮なく観察した。今ここに1人で残されたということは、彼女が麻衣だろう。実際に見てみても顔にぴんとくるものはなかった。数日前に会ったはずだがやはり記憶にはない。ただ、その物怖じしない態度には覚えがあるような気がした。
「こんばんは、陛下」
 麻衣は道端で会った知り合いに笑いかけるように自然に笑った。ナルはとりあえずうなずいてみせた。
「麻衣だな? 年は」
「19です。ちょっと薹が立ってますけど」
 座れと言ったら麻衣は困ったように辺りを見回したあげく、ベッドに腰かけたナルの隣でなく椅子を引いてきて座った。
 実のところナルは拍子抜けした。覚悟してやってくる娘たちは、とにかくきっかけを見つけて彼に迫ろうとしてくるものである。その押しつけがましさと決死の覚悟に押されて、ナルはいつも閉口してしまうのだ。
 色々と頭の中で練っていた流れを崩されて、ナルは正直困惑した。
「……僕はそのつもりがないんだが」
「はい?」
「つまり、女性を抱こうという気は、今のところ」
「え、そうなんですか」
 麻衣の態度はあっけらかんとしている。世間話でも聞いているようだ。ナルは咳払いをして冷静を取り戻した。
「後宮に入ったということは、世継ぎを産む覚悟はあるな?」
「それは、まあ、あります。陛下にやれと言われれば」
「やってもらおうと思う。だが、僕の子供じゃない」
 さすがに彼女の眉がひそめられた。
「どういうことですか?」
「お前は言われたとおりやればいい」
「……もちろんです、陛下」
 ナルは少し考え、彼女に愛称で呼ぶことを許可した。できれば臣下や女官たちに仲のいいところを見せつけておきたい。実際には仲がいいわけではないのだから、『仲がよさそうな』ところか。
「でも悪いですよ」
 麻衣の感想はそんなものだった。ナルも段々苛ついてくる。
「こちらの都合だ。口答えするな」
「……はい」
 素直というには不平たらたらの顔で麻衣はうなずく。
「文句があるなら口で言え。僕に察しろとでもいうのか?」
「言ってもよろしいんでしょうか」
「いちいち確認し直すな」
「なら言わせてもらいますが、愛称で呼べと言われてもそんな尊大な態度ではとてもそんな怖ろしいことできませんよ! 納得できる理由を言ってください。言われれば、あたしちゃんとできます。頭がないと思わないでください」
「国王にそこまで言うとは、頭はあっても働いていないようだが」
「おかげさまで、殊勝にする決心も吹き飛びました!」
「父親に影響が出るとは考えないわけかな?」
「父じゃありませんから」
 麻衣はこともなげに言った。
「あたし本当はみなしごなんです。ミカミさまはあたしを娘ってことにして養育費を出してくれましたけど、それもこういう時のためなんです。覚悟して売られたんです。仕事はがんばりますけど、駄目なら他の仕事を探します」
「なるほど」
 ナルは小さく笑った。ミカミはそういう種類の人間なわけだ。
「後宮を追い出しますか? それならそう言ってください」
「いや。そう割り切っているなら都合がいい。事情を説明する」
 ナルはここにいたるまでの事情と国情を彼にしては丁寧な口調で説明した。麻衣は入ってきた当初よりよほど殊勝な態度でそれを聞き、やがて静かにうなずいた。
「お話は、よく分かりました」
「できるかな?」
「少し考えさせてください、と申しあげてもいいんでしょうか」
「いずれ決心をつけてくれるなら、と言っておく」
「はい……」
 うつむいた麻衣は、ふと顔を上げてくもりのない笑顔を見せた。
「とりあえず、今日はその話だったんですね?」
「ああ」
「じゃあ、あたし帰っていいんでしょうか」
「どうやって帰るつもりだ?」
「え?」
「人払いをしていて、外は真っ暗だけど」
「しまったぁ……そうだった」
 頭を抱えると、麻衣は目に見えて赤くなった。
「じゃああたし、今晩はやっぱり泊まるんですか……?」
「そうなるな」
 言ってから、ナルは好奇心とでも呼ぶべきものが芽吹いたことに気付いた。彼女には、彼があれほど嫌っていた悲壮感がない。頭は悪いが押しつけがましさもない。もしかすると平気なのかもしれない。
 それはただの思いつきだった。しかし画期的な発見でもあった。その上彼はそれが許される立場なのだ。
「実験に付き合え」
「はい!?」
「抱かせろ、と言っている」
「だ、だ、抱けないって言ったじゃないですかー!?」
「覚悟していたんじゃないのか?」
「不意打ちは卑怯だよっ」
 彼女の不躾さも、ちゃんとした教育を受けていないのだろうと思えば納得がいった。新鮮なのかもしれない、と彼は自分の心境を分析する。
 ともあれ、理屈はどうでもいい。試してみる気になった、それで充分である。

 しかし、ナルは途中で行為を止めざるを得なかった。
 先ほどまでは確かになかった悲しい目が、涙が、彼女に宿っている。不可抗力でもなんでもなく自分のせいなのだということに、彼はほとんど驚きに似た感情を抱いていた。
「悪かった」
 麻衣は顔を上げる。
「そのために呼んだんじゃなかった。もうやらない」
「あたしこそ……ごめんなさい」
 ナルが机の方へ歩き始めると、麻衣が衣服を直している気配が感じられた。
 後悔というより決まりの悪い思いがしていた。自分の浅はかさを久々に見せつけられた気分だ。
 彼は、そういったことを悟られないように平静を装った。得意の無表情だ。
「これからも時々来てもらうことになる。僕は仕事をするが、麻衣は好きにしていていい。紅茶だけいれてくれ」
「……紅茶、いれたことないけど」
「……」

ともかくも、前途多難ながら作戦は開始されたのであった。

第2話へ

作者のたわごと

 ご、ご、ごめんなさいっっ(><;;;)。
 頭がね、トリップしちゃって止まらなくなったんですよ。ニイラさんなら許してくれるかなって……駄目? 駄目ですか??(T_T)
 今度これとは別に捧げものしますから、本気でしますから、許してください…ごめんなさい…かなり反省はしてます…反省に負けないくらい暴走もしてるけど…っっ(滝汗)。実は(体調は悪いけど)今(筆は)絶好調(??)なのでホントに…書きますから…。←そこまでしてやりたかったんかいパラレル
 ちなみに…7890リクは…「ナル視点でナルX麻衣(18禁希望)」でした。「正確にはなんて言われたんだっけーっ!?」とメールやら(もらったのはなぜか全部取ってあります)掲示板やらを見返しましたが、どこにもないや(涙)。きっと電話で聞いたのね…(ほろり)。
 絶対、思ったのとは違ったと存じます。

 本当は今回の最後の部分みたいなのが書きたくて思いついた設定なんですが、話が(筆が乗っちゃって)進みませんでした(汗)。次で終わる…と思うんですけどね??
 いつぞやうちの麻衣はナルの愛人みたいだと言われたので、そんな感じのイメージです(笑)。最初は性奴隷のつもりだったんですけどあんまりなんで(笑)。
 シュウさんは安原修で、リンさんは言うまでもなくて、ヴラドはもちろん浦戸さんで、ケイ姫は産砂恵さんだったりします。誰が悪者か一目で分かる感じでゴー!(^^;)

 それでは、後編は明日か明後日に〜〜。待たなくていいです〜(爆)。

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